その慰謝料で本当に大丈夫?損をしないための示談交渉

2017/03/31

示談金と慰謝料ってどう違うの?

事故の被害に見合った示談金を受け取ることができる?

保険会社が提示してきた示談金は相場ではない?

このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?

このページは,交通事故の被害に遭われた方が受け取ることのできる示談金について解説しています。示談金について疑問をお持ちの方はこちらのページをご覧ください。

示談金の内訳

交通事故の示談金と慰謝料の内訳はどのようになっているのですか?

慰謝料は,あくまで示談金の一部です。交通事故でけがをした場合,治療費や交通費,仕事を休んだ場合の休業損害,けがや後遺障害による精神的苦痛を負ったことに対する慰謝料などを請求し示談金として受け取ることができるのです。

治療費

治療費は,入通院に要した実費が補償の対象になります。相手の保険会社が病院に直接支払うことも多いため,示談金として後から提示されるものの中に含まれないこともあります。

通院交通費

通院交通費は,自宅から病院までの通院にかかった電車やバス,タクシーの代金などの交通費ををいいます。自家用車を利用して通院する場合には,1kmあたり15円のガソリン代を請求することが多いです。

休業損害

休業損害とは,事故によるけがで治療中に働けなくなったことによる収入の減少分の補償をいいます。会社員であれば,勤務先から休業したことを証明する文書を作成してもらう必要があります。自営業の場合は,事故によって実際に収入が減少したことを証明できる資料を提出しなければなりません。

休業損害では,収入の日額がいくらかが問題になることが多いです。事案によって収入日額の計算方法は異なります。

傷害慰謝料

傷害慰謝料は,けがの入通院治療による精神的な苦痛を受けたことに対する慰謝料です。入院期間と通院期間,けがの内容によって慰謝料の額を計算します。

後遺障害慰謝料

手術やリハビリ等の治療が終了した段階で後遺障害が残る場合には,後遺障害の認定手続を受けたうえで,等級に応じた慰謝料を請求することができます。後遺障害は一生を通じて付き合い続けなければなりません。日常生活や仕事面で不利益が出ることもあります。そうした後遺障害に対しての慰謝料を受け取ることができます。後遺障害慰謝料の相場は,認定を受けた等級に応じて段階的に決められることになります。

逸失利益

後遺障害によって将来的に収入が減少することに対する補償を逸失利益といいます。

逸失利益は,計算の基礎となる収入額,労働能力に制限が出る程度と年数を基に計算します。被害者の年齢や後遺障害の程度によりますが,逸失利益が示談金の項目の中で最も高額になるケースが多いといえます。

示談金とは,交通事故の損害賠償のすべてを含む言葉だ。示談金の中身として,治療費や慰謝料など個別の損害が含まれる。示談金は,慰謝料よりも広い意味合いを持つということだ。

出典:https://xn--3kq2bv77bbkgiviey3dq1g.com/jidansouba/#i-3

 

傷害部分の示談金治療費治療に要した実費
通院交通費通院に要する交通費
休業損害通院期間中の収入減少分
傷害慰謝料けがの治療によって被った精神的苦痛に対する補償
後遺障害部分の示談金後遺障害慰謝料後遺障害による不利益に対する精神的補償
後遺障害逸失利益後遺障害による将来の収入減少分の補償

示談金の相場

交通事故による示談金はケースごとに計算方法は異なりますが,一般的な示談金の相場水準もあるのです。相場をきちんと把握したうえで示談するかどうかを判断しましょう。

傷害慰謝料の相場

けがの治療によって被った精神的苦痛に対する補償である傷害慰謝料の相場は,けがの内容がむちうち等の軽傷なのか骨折等を伴う重症なのかによって計算する際の基準が変わってきます。

交通事故の損害賠償については通称「赤い本」と呼ばれている弁護士による専門組織が作成している本があります。赤い本に書かれている損害賠償の計算基準が実務上の基準とされています。裁判でもこの基準に則って慰謝料が算出されることが多いです。

赤い本には傷害慰謝料についての基準が表で記載されています。傷害慰謝料の額は,赤い本に記載されている表に事故による入院の月数と通院の月数を当てはめて,事故のおおまかな傷害慰謝料を計算します。この表は2つ用意されており,けがの内容がむちうち等の軽傷なのか骨折等を伴う重症なのかといったけがの程度に応じて表を使い分けています。

1つ目の表は骨折や脱臼などの重傷事故の場合に用いるものです。例えば,入院を1か月した後に通院している場合の慰謝料は,1か月の通院であれば77万円,2か月だと98万円,3か月だと115万円となっています。

2つ目の表はむちうち症状などの他覚症状がない軽傷の場合に用いられます。金額については1つ目よりも低く設定されています。

なお,相手の保険会社からよく提示される『1日あたり4200円』を用いる計算方法は,自賠責保険の基準です。この基準は最低補償のための基準のため,この基準で計算された金額は「赤い本」の基準で計算された金額に比べてかなり低い額となることが多いです。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料については,後遺障害等級が何級で認定されるかがポイントになります。適切な等級が認められていなければ,それだけ慰謝料の額も減額してしまいます。そのため,適切な後遺障害等級の認定を受けることが非常に重要といえます。

後遺障害慰謝料(赤い本基準(万円)
等級弁護士基準等級弁護士基準
1級28008級830
2級23709級690
3級199010級550
4級167011級420
5級140012級290
6級118013級180
7級100014級110

死亡事故の場合の慰謝料の相場

家族が交通事故で亡くなってしまったら,残された遺族の今後の生活のためにも,適正な慰謝料が補償されなければなりません。

例えば,一家の大黒柱が亡くなると,その妻や子供の今後の収入が失われてしまうため慰謝料の相場は高くなります。主婦・母親が亡くなった場合も,家事・育児を担っていた重要な存在であるだけに,慰謝料は大黒柱に準じた金額になっています。

このように特に死亡事故の場合の慰謝料の金額は重要なのですが,遺族が適正な額を知らずに言われるままに示談してしまうと,死亡事故という凄惨な事態にもかかわらず,相場を大幅に下回る示談金しか支払われないことも珍しくないのです。

必ず適正な金額を知ったうえで金額に納得してから示談をするようにしましょう。

死亡慰謝料の相場 (赤い本基準(万円))相手保険からの提示の一例(万円)
一家の大黒柱2800約1700
主婦・母親2500 約1500
その他2000~2500約1300

弁護士を入れて交渉した場合には,これを上回る基準で慰謝料を計算することになりますが,計算方法が複雑なため,慰謝料計算機を利用して計算されることをおすすめします。

出典:https://www.xn--3kq2bv77bbkgiviey3dq1g.com/isyaryo/#i-8

任意保険基準と弁護士基準の違い

弁護士に依頼した場合,なぜ示談金は増額するのですか?

法的に,裁判基準や弁護士基準と呼ばれる水準で保険会社に示談金を請求することができるからです。

任意保険基準とは

交通事故の被害者が個人で保険会社と示談金の交渉をしている場合,相場よりも低い示談金の提示をされることがあります。この場合の示談金の計算基準を「任意保険基準」と呼びます。

交通事故の慰謝料などの示談金の額は,加害者と被害者との間の示談交渉で自由に決めることもできます。そのため,交渉段階では裁判基準よりも低い基準の額を提示しても違法ではないのです。

相手保険会社が裁判や弁護士基準よりも低い金額を提示してきた場合,この示談交渉の仕組みを逆手にとって,低い額での示談に誘導してきている可能性があります。

弁護士基準とは

弁護士基準とは,弁護士が被害者に代わって相手の保険会社と交渉した場合に得られる相場水準での示談金のことをいいます。

相手保険会社は,任意保険基準という低い基準で算出された,弁護士基準を大幅に下回る示談金を提示してくることがあります。しかし本来,交通事故の被害者は事故によって被った損害について適正な示談金を受け取る権利があります。弁護士が代理人として保険会社と交渉して初めて,「弁護士基準」による適正な相場水準の示談金を実現することができるのです。

示談金に疑問があるときに取るべき行動

安易に示談を決めてしまわないこと

相手の保険会社が大手であっても,被害者に提示される示談金は適正価格ではない場合が珍しくありません。事故によって具体的にいくらの損失を被るかを深く考えずに示談に応じてしまうと,取り返しのつかない重大な二次被害となってしまいます。被害者としては,まずは交通事故を専門としている弁護士に相談して,妥当な示談金額がいくらになるのか正確な金額を把握しておくことが大切です。相談するかしないかだけで,今後の示談交渉が大きく変わる可能性が高いのです。

ポイントは交通事故の専門家であること

弁護士に相談するということの中でも最も重要なのが,交通事故の分野に強い弁護士であるということです。交通事故の損害賠償の分野というのは専門性の高い分野であり,交渉を行うにあたって様々な知識が必要となります。心臓の病気の相談を歯科医にしないことと同じで,交通事故の相談は交通事故に特化した弁護士にすることが大切なのです。

弁護士は交渉のプロでもあります。弁護士に任せれば,相手の保険会社に知識量で負けて,不利な立場に置かれることもなければ,交渉に割くエネルギーを治療,リハビリや日々のお仕事,家事等に向けることができるのです。

出典:http://www.xn--u9j691gec457gdmeqoat28s0li.com/

弁護士なし弁護士あり
示談金額の認識相場より低いかどうかが分からない相場より低いかどうかが分かる
示談交渉相場より低い額で示談してしまう可能性大適正な金額で示談できる可能性大

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